整骨院の開業における事業計画書の書き方とは?ポイント・記入例を解説!

整骨院・接骨院が事業計画書を書くのは、主に融資を受けることが目的です。金融機関側から信用を得るためにも、要点をおさえながら作成しましょう。今回は、整骨院・接骨院における事業計画書の重要性や、記述時のポイントについて解説します。

 

 

 

 

整骨院における事業計画書の重要性とは

事業計画書がなぜ重要なのかというと、融資を受けるために必要だからです。

整骨院や接骨院の開業では多くの初期費用が掛かります。また、当面かかるランニングコストも必要です。そのためには自己資金を貯めるか、融資を受ける必要があります。

しかし、施術経験があっても施術院の経営経験がない場合、銀行などからの融資が難しいことがあります。その際におすすめの相談先が日本政策金融公庫です。ここでは、創業用の融資制度があり、実績が無くても融資を引き受けてくれることが多いです。

 ただし、日本政策金融公庫の融資でも審査があります。その時に必要なのが事業計画書です。事業の内容、妥当性、将来性はもちろんですが、事業計画書の作成能力も重要視されています。

そのため、開業のための融資を受けるために事業計画書が重要であるというわけなのです。

 

融資だけじゃない!整骨院の事業計画書の役割とは

事業計画書は融資の審査に用いられるケースが多いですが、真の役割は別にあります。

事業内容や経営方針、事業展開戦略、財務計画など、事業計画書には、新規事業を進めるにあたって大切なことが具体的かつ簡潔にまとめられています。書類の作成は、起業者のビジネスプランや資金計画を明確化することにつながり、開業成功の大きな材料となるでしょう。また、見落としや事業計画の矛盾点の発見にもつながります。

上記こそが、事業計画書の本質的な意義です。丁寧に時間をかけ、納得のいく事業計画書が仕上がれば、それは事業を進めていくうえでの大切な財産になります。

しっかりと掘り下げられた内容が記載されていれば、融資担当者が目にしたときにも、結果的に大きな信用を得られるというわけです。

 

 

整骨院の事業計画書のポイント・記入例

事業計画書を書く上で留意しておきたいポイントを見ていきましょう。大切なのは、それぞれの項目に整合性があること。加えて、融資担当者の目線に立ったときに「知りたい」と思う内容を盛り込むことです。ある程度マーケティングの視点も必要になりますので、この機会に身につけておくのもおすすめです。

 

創業動機

どうしてその整骨院・接骨院を開業しようと考えたのかを記載する箇所です。ここでは、経営理念やビジョンが問われていると考えましょう。なお、創業動機は事業計画書の軸となる大切なポイントです。その他の内容と連動してくるため、ご自身の考えを振り返り、ブレのない内容を考えましょう。

創業動機の記入例

この業種で20年ほど働いてきました。前職では店長として経営に携わりましたながら、お客様の気持ちに沿った治療を心掛け多くの方を治療してまいりました。また、整骨院で働くことを決めた時から将来は開業することを目標に準備をしてきました。目標としていた自己資金が貯まったことと、理想的な物件を見つけられたため開業の決意を致しました。

 

創業動機の記入ポイント

動機を記入する前に、今までの経験や開業準備について振り返ることをおすすめします。今までにどのような業務を行ったか、資格や許認可などの有無、開業準備では何を行ったかなど一度整理してみましょう。

 

経営者の略歴

ご自身の略歴を記載します。イメージとしては、履歴書ではなく職務経歴書を意識しましょう。どのような職歴等を経て創業動機に至ったのか? どのような経験・実績を持った上での開業なのか?こうした点が読み手に伝わるような略歴を目指しましょう。

経営者の略歴の記入例

平成○○年△月 ××専門学校卒業(柔道整復師免許取得)

平成○○年△月 ××株式会社 入社(○○年)

       (施術、売上管理、店長としてスタッフの育成などに従事)

平成○○年△月 ××コンテスト 優勝

令和○○年△月 個人事業主として開業予定

経営者の略歴の記入ポイント

整骨院の開業の際には柔道整復師免許が必須です。忘れずに記入しましょう。他にも、何か資格があれば記入してください。ただし、業種によって許認可が異なるので要確認です。

 

取扱商品・サービス:①取扱商品・サービスの内容

サービスの構成比を記入します。サービスと売上シェアからどのような事業を行うのか記載しましょう。保険区分と自費診療に分けて何に比重を置いて経営するのか分かりやすいように書きましょう。

取扱商品・サービスの内容の記入例

取扱商品・サービスの内容:①保険治療(健康保険、自賠責保険、労災等) 

             売り上げシェア60%

             ②自費診療(○○、△△△等) 

              売り上げシェア40%

             ③○○○○(×××等)

              売り上げシェア○○%

 

取扱商品・サービス:②セールスポイント

商品やサービスの詳細を記入します。特に、お店の強みについてアピールしましょう。多くの経験や、幅広い技術や知識を有しているといった自分の強みやお客様の属性の強み、リピート率やコンセプトなどを記載します。

セールスポイントの内容の記入例

東洋医学と西洋医学の両方の観点からお客様に寄り添った治療を行います。根本的なところからの改善に努め、再発防止まで配慮する丁寧な施術で好評を頂いておりました。主にスポーツを行う方を対象に、治療後の復帰までサポートする施術を行っております。

 

取扱商品・サービス:③販売ターゲット・販売戦略

どのような層にどのようにして販売するかを記入します。お店の認知の広め方やどのようなビジネスモデルで行うのか、ターゲット層などについて書きましょう。

 

販売ターゲット・販売戦略の内容の記入例

10代から40代のスポーツをしている方をメインターゲットにし、SNSやチラシなどを使って集客していきます。保険診療と自由診療を組み合わせて、ひとりひとりに寄り添った施術を提供します。治療完了後もスポーツを行う上での身体のメンテナンスを提供することで、継続的な収入を得られます。

 

取扱商品・サービス:④競合・市場など企業を取り巻く状況

競合・市場など企業を取り巻く状況の内容の記入例

近隣に学校やスポーツ施設があり、かつ建物の1階なので新規のお客様が店を知りやすい立地です。近くに競合はなく、現在リピートしていただいているお客様も通いやすい距離です。

 

取引先・取引関係等、販売先

整骨院・接骨院における取引先・販売先は、来院されるお客様です。ただし、「院周辺の一般個人」といった書き方ではターゲットが不明瞭です。どのような人にサービスを届けるのかが絞り込まれていると、院の特徴が伝わりやすくなります。

取引先・取引関係等、販売先の記入例

従業員

運営体制を記載します。受付やアシスタントがそれぞれ何人くらいで運営しようと思っているのか書きましょう。

従業員の記入例

・常勤役員の人数:0人

・従業員数:2人 うち家族従業員:0人 

         うちパート従業員:1人

従業員の記入ポイント

整骨院を運営するのに何人必要なのかを考えましょう。採用費や人件費などとの兼ね合いも配慮しながら計画します。お店の広さ、営業日数や営業時間等を考慮しましょう。

 

借り入れ状況

ここでは現存借入を記載します。返済の負担などを確認して融資するかどうかを決めるためです。ただし、消費者金融などから借り入れがあった場合借り換えを懸念されることがあるので注意しましょう。

借り入れ状況の記入例

借り入れ状況の記入ポイント

ここでは事業に関係のない住宅ローンや自動車ローンなども記入しましょう。借金は全部でどのくらいあって、月にどのくらい返済しているのかを確認しておきます。個人事業主の場合、事業収入が生活費や融資の返済費になるので個人的な借入も書かなければいけないのです。

 

必要な資金・調達の方法

資金に関する項目で見られるのは、主に自己資金です。可能であれば、1/3〜1/4はご自身で捻出したいところ。そのうえで、2〜3カ月分の運転資金でまかなう計画が現実的です。なお、自己資金が“見せ金”と判断されると信用が下がりますので、不審なお金の動きがないよう注意してください。

必要な資金・調達の方法の記入例

必要な資金・調達の方法の記入ポイント

必要な資金の合計と調達方法の金額の合計が揃っているか確認しましょう。また、設備にかかる費用は、物件の保証金や物件の内装費、ベッドやレジなど全て記入してください。そして、設備資金には見積書が必要であることに注意してください。また、人件費や家賃などは運転資金に記入します。

 

事業の見通し

事業計画書を書く際にもっとも難しいのが「事業の見通し」の欄です。貸し手としては、ここで事業の収益性や返済能力を判断します。説得力のある根拠と、精度の高い数字を記載できるよう、ご自身の事業をしっかりと見つめ直しましょう。

事業の見通しの記入例

事業の見通しの記入ポイント

個人事業主の場合、利益から生活費の工面や借入金の返済を行います。確認しておきましょう。また、事業の見直しでは売上の根拠を明確にするために計算式を記入します。事業計画が不十分だと思われないためにも、具体的に記入しましょう。

 

整骨院における融資の可否は「事業計画書&面談」で決まる!

事業計画書などの書類を用意し、融資申し込みを行うと約1週間で面談が行われます。ここでは借入金の用途や返済計画について、日本政策金融公庫側の担当者から質問されます。

事業計画書がどれだけうまく書けていたとしても、この面談で悪印象を与えると審査が通らない可能性も十分に考えられます。遅刻をしたり、事業計画書と違うことを答えたりすると、「いい加減な人物だな」と思われてしまうかもしれません。

大切なのはありのままの状況を誠実に答え、熱意を持って対応をすることです。謙虚な姿勢と心からの「夢を叶えたい」という気持ちが担当者に伝われば、心証が悪くなることはありません。

まとめ

事業を続けていれば、開業時以外にも融資が必要になるタイミングが訪れるかもしれません。一度事業計画書を作成した経験があれば、追加融資の際にも必ずその力が生きるはずです。今回ご紹介したポイントを踏まえながら、ぜひ事業計画書づくりに挑戦してください。

整骨院開業に関する無料相談こちらから

 

また創業計画に関するセミナーを開催予定ですので、公庫から借入する際の動機の書き方や初期費用のシミュレーションをしたい方はセミナーへの参加もご検討ください。

(セミナー参加のリンク)

コラム一覧に戻る