【需要増】障がい者グループホームの設置基準とは?

整骨院の開業数は年々増加しており、需要が伸びると同時に競合相手も増えてきています。そのため今後も安定した収入を得るために、新たな収益の柱を探しているオーナー様も多いのではないでしょうか。

収益について考える際に欠かせないのは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)、つまり「顧客生涯価値」です。これは、一人もしくは一社の顧客が特定の企業と取引を始めてから終わりまでの期間内にどれだけ利益があるのかを算出したもの。

整骨院のLTVは5万~6万といわれているなか、LTVの高さと社会的意義により注目を集めているのが、障がい者グループホームの経営です。

そこで今回は、新たな収益の柱を探しているオーナー様に向けて、障がい者グループホームの需要や背景、立ち上げにあたり必要な設置基準について詳しく解説していきます。「グループホームの立ち上げを検討している」という方はもちろん、「設置基準について詳しく知りたい」という方は、ぜひご覧ください。

 

1.増え続ける障がい者グループホームの需要

日本には現在、障がい者の方が936万人おり、これは人口の7.4%に相当します(2018 年厚生労働省データ)。

今後も障がい者の方は増加すると想定されており、福祉関連予算もこの10 年で3倍になる高成長市場となっておりますが、まだまだグループホーム数が足りていないのが現状です。

ちなみに障がい者グループホームとは、障がい者総合支援法で定められた福祉サービスの1つで、障がいを抱えた方が共同生活を行う住まいの場(支援付きシェアハウス)のこと。障がいを抱えている方が独立を考えたとき、どうしても一人の生活は困難だったり、ご本人・ご家族がさまざまな不安を抱えてしまったりするケースが心配されます。

障がい者グループホームに入居することで、日常的なサポートはもちろん、仕事の相談や日々のコミュニケーションなどさまざまな支援を受け、いきいきと生活を送れることが期待されます。

また、需要が高まり続ける障がい者グループホームは、社会問題となっている空き家問題を解決するきっかけにもなり得ます。「空き家や土地を需要が高まっている福祉への賃貸事業へ活用させたい」、「空き家や土地を活用することで、地域福祉に貢献したい」といった思いから、グループホーム経営に興味を持つ方も非常に増えてきているのです。

 

【グループホーム事業へ参入する9つのメリット】

1:圧倒的に不足しているため、集客力が非常に高い
2:他の福祉事業と比べ、初期投資が少ない・低リスク
3:安定ビジネス・売上9割保険収入・高収益
4:人口減少社会における空き家対策事業
5:社会保障費は毎年増加・国もバックアップ
6:景気に左右されない=不況に強い事業
7:サービス提供期間が長いため安定売り上げが見込める
8:総量規制があり、今なら既得権益が得られるタイミング
9:入居者やご家族らに感謝され、社会貢献度が高い

 

2.障がい者グループホームにおける設置基準とは?

障がい者グループホームを立ち上げるにあたっては、設置基準を満たしている必要があります。この基準は、厚生労働省令第34号「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(第五章:認知症対応型共同生活介護)」に記載されています。

設置基準は、設備(物件や場所)の基準をはじめ、人員配置基準、運営基準に分けられます。

 

【設置基準1:設備基準】

利用者が安全に生活できるように、場所や物件における基準が定められています。その内容は、以下の通り。

【住居】:住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあること、 入所施設又は病院の敷地外にあること
【定員】:最低定員4人以上
【居室】: 1つの居室の定員は、1人、 1つの居室の面積は、収納設備等を除き7.43㎡以上
【交流を図る設備】: 居室に近接して設けられる相互に交流を図ることができる設備
(食堂など)
【台所、便所、洗面設備、浴室】:10名を上限とする生活単位ごとに区分して配置

1-2:障がい者グループホームで使用される物件の条件

住居のタイプは、一戸建てでも、アパート、マンション、社員寮、民泊など、ほぼすべての建物で対応可能です。入所施設又は病院の敷地外であれば新築、賃貸、購入、どれでもOKです。

居住面積は、1室あたり4.5帖以上が必要です。その他の注意点として、市街化調整区域は使用不可、昭和56年以前に建築した物件は要確認、建物面積200㎡以下の物件推奨、駅やバス停から徒歩、自転車で20分以内などが挙げられます。

1-3:【物件例】定員4名、4LDK(一軒家タイプ)

入居者の居住スペースは基準(4.5帖以上)を満たした、和室・洋室6帖と洋室5.5帖。トイレは各階にあり、浴室は1階に設置されています。

作りを見ても特別な施設というわけではなく、あくまでの一軒家を上手に活用した物件です。

 

【設置基準2:人員配置基準】

人員基準は、グループホームを運営するにあたって必要な人員配置の基準です。

【管理者】:サービス提供に必要な知識及び経験を有する者1名(常勤)
※管理上支障が無ければ、他職種との兼務も可能、資格要件なし
【サービス管理責任者】:利用者30名ごとに1名(管理上支障が無ければ、他職種との兼務も可能)(資格ごとの従事年数要件、基礎研修、相談支援従事者初任者研修の両方を受講、修了していることが要件となります。基礎研修後、実践研修を受ける必要があります。)
【世話人】:利用者6人(人員配置基準により5又は4)ごとに1人
※兼務可能、資格要件なし
【生活支援員】:利用者区分による

 

【設置基準3:運営基準】

グループホームを運営するにあたっては、それぞれの自治体の基準条例を守って運営するよう「運営規程」、いわゆるルールブックを策定します。策定する内容は以下の通り。

・事業の目的
・運営の方針
・事業所の名称や所在地
・営業日・営業時間
・利用者の定員
・サービスの内容
・苦情解決の処置
・サービスに関する費用
・研修実施について

 

3.建築基準緩和とその背景

平成30年に交付された「建設基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)」で、グループホームの建設基準が緩和されました。国も基準を緩和し、全力を挙げてグループホームの増加を推奨していることが読み取れます。

建築基準緩和の背景にあるのは、建築物・市街地の安全性の確保と、既存建築ストック(空き家など)の活用です。

平成28年の糸魚川市大規模火災などの被害を踏まえ、建設物の保持保全・改修によって安全性の担保を図ることや、密集市街地解消が急務となりました。それと同時に全国各地で空き家が増加しており、空き家の活用が求められています。

空き家を活用するにあたっては建設基準法に適合させるべく、大規模な工事が必要となるケースが多いことが課題でした。

それぞれの課題を解決するため安全性を担保したうえで、空き家等を福祉施設・商業施設等に用途変更する場合は、大規模な改修工事が不要かつ手続きが合理化。これにより、空き家活用と障がい者グループホームをはじめとする福祉施設の増加・推進が期待できるようになったのです。

出典:国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について」

 

4.まとめ

障がい者グループホームの現状や高まる需要を紹介するとともに、立ち上げ時に必要な設置基準や実際の物件例、建築基準法が緩和された背景などを解説しました。

需要が高まる障がい者グループホームに興味を持ったとしても、「新規参入はなかなかハードルが高い」「上手く経営できるか不安」という方も多いのではないでしょうか。

私たち株式会社健生は、障害者グループホームをはじめとする福祉業界へ新規参入する方の「開業までの支援」と「開業後の運営支援」を行う会員制コンサルティングを行っております。

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