開業にはリスクがあることもきちんと考えておくことが大事

整骨院の開業に必要な技術を学んで資格を取得し、いよいよ開業を具体的に検討することになると、事業に大きな夢を抱いている人は多いかもしれません。しかし、開業のリスクがあることを事前に考えておくことは重要です。損益分岐点を把握して売上高がいくらなら黒字になるのかをしっかり計算して日々の売り上げ目標を立て、考えうるアクシデントへの対応も事前に考えておきましょう。

整骨院の開業を控えた方に、黒字経営を維持する難しさや、患者さんからのクレームなど考えられるアクシデントについて解説します。

 

 

 

 

1.黒字経営を維持する難しさ

黒字経営かどうかを判断するための財務的な数値の把握は大前提です。黒字経営を維持する難しさは、リピーター獲得の難しさとも言えます。整骨院を開業して黒字経営を続けていくためには、「売上高を黒字経営の域までキープするか」「経費節約で利益を確保するか」の手段しかありません。

整骨院では、経費の大半は人件費です。人件費を削りすぎれば、スタッフのモチベーションは下がります。その結果、サービスの質が落ちて患者さんが離れていってしまうでしょう。そう考えると、人件費は安易に削減できません。やはり、売上高をしっかりキープしていくために、集客とリピーター作りの両方に力を入れていくことが重要なのです。

売上高を上げるには、集客により力を入れ、新規に獲得した患者さんがリピーターとなってくれるように工夫しましょう。集客の手段は、自院の公式WebサイトやLINEなどのインターネットを使った集客、ポスターや折り込み広告といったアナログな手段での宣伝、患者さん同士の口コミなどいろいろあります。

よくありがちな失敗は、集客にばかり力を入れて、リピーター施策を怠ることです。せっかくお金や時間をかけて集客をしたとしても、リピーターになってもらえなければ安定した黒字経営はできません。新たな患者さんにリピーターとなってもらうには、「質の良いサービス」「丁寧で気持ちの良い接客」「ポイントカードの導入」など、続けて通いたくなる施策を考えて実施しましょう。

集客からリピーター獲得までの流れをいかにして確立していくかが、黒字経営を維持する秘訣です。簡単にまとめてはいますが、実践していっても思い通りにならないこともあります。黒字経営の維持を難しくするアクシデントとしては、患者さんからのクレームや意図せず法律違反を犯してしまうことが挙げられます。

 

 

2.患者さんからのクレームもある

集客からリピーター獲得が、整骨院の黒字経営を維持する重要な施策です。しかし、あれこれ頑張っていても、患者さんからクレームを受ける場合もあります。整骨院は患者さんの身体に直接触れる仕事のため、ことによっては訴えられるリスクもあり、損害賠償金の支払いで経営難に陥る危険もゼロではありません。

訴訟まではいかなくても、患者さんからのクレームを放置していると、あっという間に悪いうわさが広がり、経営に深刻なダメージを受ける場合もあります。患者さんからクレームが来た場合は、これまでの施策や経営を見直す貴重な情報をもらったと考えて、早急に対策を考え、実行に移しましょう。

患者さんのクレームに対する初期対応は、丁寧に話を聞いて患者さんのストレスが解消するまで根気強く対応することが大切です。ある程度気持ちが収まってくれば、患者さんも何が問題だったのかについて率直な意見を口にしてくれます。

患者さんのクレーム内容がよくわからない場合は、ヒアリングをしっかりして何に怒っているか、問題の原因把握に努めます。「施術内容が思っていたものと違った」「施術代金が高すぎる」という内容であれば、事前説明が足りていなかったということです。施術自体に不満を持たれた場合は、施術の技術面や患者さんの様子を観察する注意深さが足りなかったことが考えられます。

クレーム内容から今のやり方にどういう問題があるのかが見えてきますので、そこからさらなる改善の糸口をつかみ、提供しているサービス全般のクオリティを改善していきましょう。患者さんからのクレームは、放置していると経営に大きな打撃となりますが、対処することでより多くのリピーターを獲得できる可能性も秘めているのです。

 

 

3.気づかぬうちに法律違反をしてしまうことも

黒字経営が危機に陥る可能性のあるアクシデントとして、もうひとつ「法律違反」についても把握しておく必要があります。技術を学び、資格を取る過程で必要な法律について学ぶ機会もあったでしょう。ここで改めて確認しておきたい法律は以下の通りです。

 

確認しておきたい法律

  • 柔道整復師法
  • あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 (通称:あはき法)
  • 医師法
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)
  • 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)

 

例えば、2類や3類の湿布の扱いは、院内で使用することは問題ありませんが、許可なく窓口で販売してしまうと薬機法違反になってしまいます。さらに、注意しなくてはいけないのは、広告宣伝です。広告で使用する表現は、柔道整復師法で明確に定められており、医師や医療行為を想起させる言葉は一切使用できません。特に注意したい言葉は以下の通りです。

 

広告で特に注意したい表現

  • 「診察、診療、問診」 →「施術」などに言い換え
  • 「休診」 →「定休日、休日」などに言い換え
  • 「診療時間」 →「営業時間」に言い換え
  • 「治る、完治する」 →「施術、和らげる、トリートメント」などに言い換え
  • 肩こりなどの具体的な症例

 

紙媒体のチラシに掲載する情報も基本的な情報のみが許されており、具体的にどういう施術をするかといったことや、お客様の声は掲載できません。 知らず知らずのうちに法律違反にならないよう、定期的にセルフチェックをしておくなどの対策をしておきましょう。

 

 

4.まとめ

整骨院の開業と黒字経営の維持は大変で、経営上のリスクもいろいろと考えられます。黒字経営を維持するうえで重要な新規顧客獲得のための集客とリピーター獲得施策は、開業前によく検討しておくべき最重要事項です。また、想定しうるリスクへはできる限り予防するような対策を検討し、日々行えるようにしておきましょう。

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